学部長メッセージ

「情報」とは何か? 「情報」と「データ」は何が違うのか?

いまや私たちの生活には「情報技術」が広く行き渡ってきています。"ケータイ・スマホ"から通販サイトにアクセスすれば、欲しい物がすぐ手に入ります。交通機関のサイトに飛べば、乗車チケットも予約できます。"スマホ"も、物品購入システムや座席予約システムも全て「情報技術」によってもたらされたもの。もはや「情報技術」は、人々と切り離せない存在です。

ところで、その「情報」とは一体何でしょう? 「情報」と「データ」では何が違うのか、わかりますか? データとは「誰が見ても疑いようのない事実」です。それに対し「人の解釈や意図が加わる」のが情報なのです。例えばテストで70点を取ったとします。ある生徒は「70点も取れた」と喜ぶかもしれません。一方、「70点しか取れなかった」と悔しがる生徒もいるでしょう。この場合、70点という数値は明確な事実、つまり「データ」です。しかし「70点も取れた」「70点しか取れなかった」という表現には、人の解釈が加わっています。それらはすなわち「情報」なのです。

そうした「情報」を「学ぶ」とは、人の解釈や意図を知り、それによって行われる人や組織の営みを理解することでもあるわけです。

情報学部長 小嶋 弘行

「情報を生む人」と「情報を求める人」を効果的に結びつける

情報学とは、「情報を生み出す人と、情報を利用する人の解釈・意図を理解した上で、両者のコミュニケーション(情報のやり取り)をより円滑に、簡単にする仕組み」を考えることです。「人間そのものの研究」と言ってもよいでしょう。だから情報学は、文系・理系のどちらの人も学べます。「人間そのものの研究」に文理の区別は関係ありませんから。

こう考えると、「情報技術」の役割も明らかになってきますね。「情報技術」は2つの特徴を持っています。1つは「時間・空間の短縮」であり、もう1つは「仮想空間の創出」です。この特徴を利用し、情報を生む人と情報を求める人を結びつけるのが、「情報技術」の役割。例えば「物品を買いたい人」と「物品を売りたい人」がいるなら、ネットに仮想店舗を作って実際に店に行く手間を省き、両者のコミュニケーションを効果的に行わせる。その仕組みを実現したのが、冒頭に挙げたような通販サイト、ということです。

出発点は、常に『人』。「なぜシステムを構築するのか」「誰のために情報技術を利用するのか」という目的を定めることで、「どのようなシステムやハードウェアで解決するか」が見えてくるのです。

テクニックだけじゃ意味がない。『本質』を理解してほしい

本学の情報学部では、「情報」の意味や「情報技術」の役割といった『本質』を理解した上で、人々や社会の問題を解決できるスペシャリストを育てたい、と考えています。情報工学科は主にハードウェアシステムについて、知的情報システム学科では主に情報システムについて学ぶ、つまりハードウェアに軸足があるのと、人間の業務に軸足があるのとの違いはありますが、ソフトウェアという基盤は2学科で共通するものですし、その本質は変わりません。

「プログラミングが早くできる」などのテクニックも大事ですが、それだけでは人や社会の問題は解決できません。重視するのは、「なんのためにやるか」「どうやるか」「その結果、どんなことが起こったか」「どうすればもっと良くなるか」という、問題定義→解決策→評価・検証→実践・改善のプロセスの体験です。このプロセスは、どんな研究や仕事を進める上でも基本となるもの。どの分野でも使える汎用性の高い体験を通じ、広い視野と深い専門性の育成を図ります。

面白いゲームを作りたいとか、世の中を驚かす情報機器を手がけたいなど、きっかけは何でも構いません。そこから、「情報」「情報システム」「情報技術」の本質を身につけてください。

「心願必達」

情報学を学ぶにも、また仕事をするにも、大切なのは「目的を持つ」ことです。目的を持つことで、次にどうすべきか、という発想が生まれてきます。そして目的を持ったら常に忘れず、達成しようと努力してください。そうすれば、時間はかかるかもしれませんが、必ずゴールにたどり着けるでしょう。ぼやっとしていて明確でない目的でもいいんです。目的を持つ。そして一歩踏み出してみる。その先には、必ず道が開けるものです。