主たる研究分野
- 期待ライフサイクルコストの最小化によるRC橋梁の維持管理計画
- 非定常スペクトル解析による構造物の動的特性の同定法
- 豪雨に対する河川境防の信頼性評価
- レベル2地震に対するRC構造物の信頼性評価
研究概要
1)研究背景と研究目的
広島県には県が管理する橋に限っても3,500を超える橋があり、それらの平均年齢は約37歳である。一般に橋の寿命は標準的なもので50年程度とされているが、財政がひっ迫している現状を考えれば、更新を考えるよりも、橋梁のライフサイクルコストに基づく維持計画に従って適切な維持管理を行うことによって寿命を伸ばすことを考えるべきである。また、河川堤防の決壊や大地震に対する構造物の安全評価についても、従来の安全率による評価から国際標準(lSO2394)を視野に入れた指標(信頼性指標)による評価が求められている。さらに、スマートモニタリング(1)と、得られたデータの有効活用によって橋梁などの力学特性を同定することも、構造物の補修や補強計画に関係する重要な課題である。
それらの問題解決に本研究センターの設置目的がある。
2)これまでの成果と現状
RC橋梁部材の期待LCC(ライフサイクルコスト)の算定法
文部科学省科学研究費(2)の補助を受け、塩害を受ける鉄筋コンクリート橋梁部材の信頼性を構造信頼性理論の導入によって評価し、建設費用および供用期間中における点検費用や補修・補強費用などの総和(ライフサイクルコスト)を最小にするような維持管理計画システムを構築した(3)。
構造物の動的特性の同定法
非定常スペクトル応答解析理論(4)を応用して、数年に一度は発生する可能性が高い地震時の応答を各種センサで測定し、それによって構造物の劣化度を評価する手法を開発中である(5)。
河川堤防の信頼性評価
構造信頼性理論と確率有限要素法によって豪雨時における河川堤防の信頼性の経時変化(上図はある堤防と想定豪雨に対する解析結果)を把握できるシステムを構築中である(6)
公表した成果
- 中山隆弘:全体的動向の解説、IntellTgent Bridge/Structure and Smart MonTtoringに関する公開講演会、構造工学技術シリーズ/No.12、土木学会・構造工学委員会・橋梁振動モニタリング研究小委員会、pp.1-8、1999.11.
- 文部科学省科学研究費(2003年度~2005年度)基盤研究(C)(1)(研究代表者:中山隆弘)報告書:不可避な不確実性を考慮したRC構造物の構造信頼性評価法とLCCの確率論的評価法
- 中山隆弘・大嶋健太:鉄筋コンクリート橋梁の維持管理計画における構造信頼性理論の活用、第23回信頼性シンポジウム講演論文集、pp.72-77、2008.12.
- 中山隆弘・小松定夫・角田直行:構造振動系の非定常スペクトル応答解析法について、土木学会論文集、第374号/Ⅰ-6、pp.541-548、1986.10.
- 中山隆弘・鈴木悠紀賞・溝畑陽一・山光涼平:非定常スペクトル解析理論による構造物の動的特性の同定、広島工業大学紀要研究編、第43巻、pp.131-139、2009.2.
- Y.Shimizu・Y.Yoshinami・M.Suzuki・T.Nakayama・I.Ichikawa: Evaluating the reliability of a levee against seepageflow, Proc. of Geotechnical Risk and Safety, Taylor & Francis Group,pp.141-146,June.2009.